合計30000円以上のお買い上げで送料無料となります。

革へのこだわり

目次:

一生かけて育てる素材

革という素材の歴史は2000年以上前までさかのぼります。古代アッシリア帝国では原始的な植物タンニンなめしが行われており、軍用の鎧や靴に用いられるほどの耐久性がある素材として知られていました。現在でも馬具やリードなど、高い耐久性が要求されるシーンで革が使用されています。プレストパティーナではこうした「革の思想」に基づく一生モノのレザーバッグを作り続けています。と言っても、具体的にどのぐらい長持ちするのかイメージが湧きにくいかもしれません。具体例を見てみましょう:

財布1

俯瞰で見た写真。かなり年季が入っています。

財布2

近くで見てみると、長年にわたり使い込んだ傷や色落ちがより一層わかります。

財布3

財布を開いたところ。

上の写真の財布はかなり年季の入ったものに見えますが、これは何年前に作られたものだと思いますか。長持ちと言っても、10年や20年ばかりではありません。

実はこの財布は100年以上前に作られたものです。当時の空気や歴史、人、あらゆるものに影響されながら徐々に育って現在の姿になったわけです。もっとも、今でも使おうと思えば十分現役で使えます。現在進行形で育っている革と言ってよいでしょう。

この財布は何も特別な例ではありません。革製品というものはこれぐらい長持ちして当たり前のものです。現在では軽薄短小を売りにした革製品を多く見かけますが、本来、武具や馬具に使われる素材が1年や2年で消耗してしまうのはおかしな話です。

現代は大量生産・大量消費の時代で、革製品も例外ではありません。チープで低品質な革を使い捨てにする風潮を変えるべく、わずかながらの貢献をさせていただくこともまた、当店のポリシーと心得ています。

革の種類と個性

一口に「革」といっても様々な種類があり、利用方法や素材の持つ性格もそれぞれ異なります。固い革、やわらかい革、油分を豊富に含む革など、プロにとっては簡単なことなのですが、これを一般の方にわかりやすく説明した資料はあまり見つかりません。ファッション雑誌やネット上の情報は断片的であったり、一つの意見に偏ったものが多いことも一因でしょう。このページでは個性豊かな革の種類ごとの性質を(1)なめし、(2)層、(3)銀面の三つの視点から多角的に見ていきましょう。

(1)適材適所のなめし方

タンナー(革の工場)において、腐りやすい「皮」を丈夫で実用的な「革」へ変える工程のことを「なめし」と呼びます。革のなめし方にはいくつか種類があります。当店で扱っているものは、植物タンニンなめし、クロムなめし、オイルタンです。どれもあまり聞きなれない言葉かもしれませんが、プロは簡単に目利きができます。豊富な知識に加えて、日々様々な種類の革の流通やそれらを用いた製作に携わりながら経験を積んでいるためです。

このように、知識と経験がなければなかなか革の目利きは難しいのですが、一般のお客さまにとっても知識として知っておかれることは無駄にはならないので、上に述べた3種類のなめし方について簡単に見ていきましょう。

植物タンニンなめし革とクロムなめし革

植物タンニンなめし革

当店で使用している植物タンニンなめし革(プレミアム)。

クロムなめし革

こちらはクロムなめし革(スタンダード)。

コスト面での植物タンニンなめし革の特徴は、一般的に言って、(1)時間がかかる、(2)流通量が少ない、(3)値段が高いことです。植物タンニンなめし革をなめすためには数ヶ月程度の時間を要します。クロムなめし革が1日~2日でなめされることと比較するとかなりの手間であると言えます。流通量に関しては、おおまかに言って、市場における革の8~9割はクロムなめし革で、残りが植物タンニンなめし革です。手間がかかるため流通量が少なく、値段も高くなるわけです。

実用的な面での両者の違いは、植物タンニンなめし革は固くがっちりとしていること、クロムなめし革は比較的やわらかくしなやかな質感であることが挙げられます。とくに植物タンニンなめし革は水に濡れると柔らかく、乾くとまた固くなる性質があり、これを利用して成形することができます。

こうして考えると、なんとなく植物タンニンなめし革がクロムタンニンなめし革よりも優れているような錯覚に陥ってしまいます。実際、多くのメディアや雑誌などでも同じような主張がされているのをしばしば目にします。しかしながら、はっきり言って、これは間違っています。両者の性質は一長一短で、どちらが優れているというわけではなく、用途や好み、デザインなどに応じて使い分けることが本来の目的です。

たとえば、当店のバッグですと、カメラバッグには固くがっちりとした植物タンニンなめし革が最適です。精密機器を安全に持ち運ぶことや、型崩れに強い設計にするためです。

一方、バックパックはクロムなめし革で作っています。これは底面のデザイン上、固い革を使うとステッチに負荷がかかりすぎるためです。植物タンニンなめし革ではかえって耐久性を損ねることになります。また、全体的にふんわりとしたシルエットで、かつ体になじみやすい質感を追求すると、クロムなめし革がベストです。

このように、両者は適材適所で用いることが重要であり、どちらが良い・悪いという問題ではありません。なお、なめし方と環境問題に関する指摘がありますが、結論からいうとこちらも誤解です。製革工程の全体から見て、革の環境問題の本質はなめし以前の工程にあります。この点については長くなるので、こちらのブログ記事にまとめました。ご興味がお有りでしたらご一読ください。

オイルレザー(オイルタン)

オイルレザー(オイルタン)

独特な色ムラがかっこいいオイルレザー(ヴィンテージ)

 

通常の革よりも多くの油分を加えながらなめす製法をオイルタンと呼び、なめされた革がオイルレザーとなります。オイルレザーは植物タンニンなめしとクロムなめしの両方で可能ですが、当店で扱っているオイルレザーはクロムなめしのものとなります。

オイルレザーは内部に含まれた油分が水を弾くため、撥水効果があります。この点は直感的にもわかりやすいと思います。このオイルは独特の色ムラやエイジングにも影響します。とくにエイジングへの効果は大きく、油分が多ければ多いほど豊かなエイジングをお愉しみいただけます。潤沢にオイルを含むため、そこまで頻繁にお手入れをせず、気軽に使えることもポイントです。

個性派ではありますが、その分根強いファンも多い革です。

(2)革の層 銀面と床面

さて、以上のようにしてなめされた革はどの「層」を使うかによっても品質が大きく左右されます。以下の写真をご覧ください:

 銀面と床面

革を漉くと銀面と床面に分かれます

仕入れたばかりの革は分厚く、写真のとおり2層に分けることができます。もっと分厚いものだと3層にも分けることができます。このうち、革のツルッとしたおもて面のことを銀面、ザラザラしたうら面のことを床(とこ)面と呼びます。一般的に「革」と聞いて思い浮かべるのは前者だと思います。実際、銀面のほうが繊維構造が密ではるかに頑丈です。後者は床面や床革と呼ばれ、銀面よりも耐久性が劣るため、主にライニングなどの用途に用いられます。

(3)銀面の違いから革を知る

前述のとおり、革は銀面と床面に分かれます。レザーバッグを作る際に主役となるのは銀面です。実のところ、こんなことはわざわざ言うまでもなく当たり前のことなのですが、安価なバッグには革の銀面に似せて作られた粗悪な素材が使われていることも多く、まずはこの点について説明します:

合成皮革

革の銀面に似せて作られた人工的な素材です。PU(ポリウレタン)レザー、フェイクレザーとも呼ばれますが、全て同じものです。ポリウレタンはそもそも革ではありませんし、革ではないものを合成「皮革」と称するのもわかりにくさの一因となっています。ただし、長所もあります。カラーバリエーションが豊富、汚れや水に(1~2年ぐらいの間)比較的強い、そして安価であることです。いずれも大量生産・大量消費に適した特性であり、革と違って使い捨てのバッグによく用いられます。革はあくまで食肉の副産物であるのに対し合成皮革は人工素材であることも、環境面からは好ましくありません。

ボンデッドレザー(エコレザー)

この素材は製紙のような要領で作られます。見た目や耐久性などに問題があり使い物にならない革をスクラップにして、接着剤で固めて1枚のシート状に成型します。このような加工を施す理由は、低品質な革の見た目をごまかすためです。もっとも、実際にはこのうち「革」は全体の2割程度しか含まれておらず、この素材を革と呼ぶのはかなり強引です。表面も完全に樹脂でコーティングされており、「革」の部分に触れることすら不可能です。このようにほぼ人工的な素材なのですが、さも天然素材であるかのようにマーケティングされることがしばしばあります。

バイキャストレザー

通常の用途には使えないボロボロの革の表面に樹脂コーティングを施したもの。ボンデッドレザーと同様の「売るための言葉」ですので、両者の意味的な区分けも曖昧です。

スプリットレザー(床革)

ここまでくると一応革とは呼べます。ただし、銀面ではなく「銀面を模した床面」です。

タンナーでは革を均一な厚みに揃えるために漉き加工を施しますが、この過程で革は「銀面(革のおもて面で、毛穴がしっかりと見える。通気性に富み耐久性も高い)」と「床面(革の裏面で、毛穴がまったく見えない。耐久性、耐湿性にとぼしい)」に分けられます。このうち銀面がフルグレインレザーなどに活用されて、床面は残りかすとして余ります。この残りかすの部分を安価で仕入れて加工を施し、見栄えをよくしたものがスプリットレザーです。表面に毛穴がないため吸湿性にとぼしく、革の呼吸を感じられない素材です。また、染色の段階で、金太郎飴のように同じ発色になるのもこの素材の特徴です。頑丈な「銀面」を用いたトップグレインレザーやフルグレインレザーは厚みや品質にそれぞれ個性があり、その個性が発色にも影響するため、一つとして同じ発色の革はありませんが、スプリットレザーにはそれがありません。

では次に、本当の意味で銀面を使った革をご紹介しましょう:

トップグレインレザー

本当に「革」と呼べるのはここからです。

頑丈な素材で、高級ブランドバッグにも使用されます。革の銀面には自然素材ならではの傷やシワなどが残っていますが、そうした量産品として「不完全」な部分を磨いて取り除いたものがトップグレインレザーと呼ばれます。比較的丈夫で、革らしい風合いが感じられる素材です。ただし、品質・コストの両方で本当に「トップ」と言えるのはフルグレインレザーですので、やや名前負けの感はあります。

フルグレインレザー(銀付き革)

トップグレインレザーやその他の革にも言えることですが、フルグレインレザーにも大別して2種類のタイプがあります。ひとつは表面を加工してあるもの、もうひとつは表面を加工していないものです:

(1)表面を加工してあるもの:

安価なものに多く見られます。表面が傷だらけであったり、耐久性にとぼしくペラペラであるなどの理由から品質の劣る革に樹脂コーティングを施します。これにより、すべての革を均一な見た目にすることができます。樹脂コーティングは劣化すること、革の個性や呼吸、エイジングを味わうことができない点において、後述する表面を加工していないタイプのフルグレインレザーに劣ります。最近は技術の発達により比較的丈夫なコーティングを施すことができる場合もありますが、その場合は当然ながら従来品よりも値段が上がります。

(2)表面を加工していないもの:

これこそがまさに最高峰の素材。当店で使っている革はすべてこのタイプのものです。

このタイプのフルグレインレザーは、銀面にやすりがけや樹脂コーティングなどの加工を一切加えず、脱毛、なめし、染色のみを経た素朴な製法でできています。非常に高価な素材ですが、強度・耐久性・通気性ともに最高ランクの牛革であり、使い込むほどに美しい質感やツヤを醸し出します。銀面の毛穴を塞いでいないため、革の呼吸が感じられる素材でもあります。

両者の見分け方は簡単です。革の銀面に水滴を垂らすと、前者は水を全く吸収しないのに対して、後者は毛穴から水を吸収します。オイルやワックスなどが染み込んでいると多少の撥水効果はありますが、革を折り曲げて毛穴をむき出しにすると水をうまく吸収します。このことからも、当店で使用している革はまさしく「呼吸」しているこがお分かりいただけると思います。

コーティングあり

(1)のタイプの革。コーティングで毛穴が完全に塞がれているため、全く水分を吸収しません。

コーティングなし1

当店で使用している革(2)のタイプの革。毛穴から水分をしっかり吸収していることがわかります。

コーティングなし2

オイルレザー(ヴィンテージ)は若干の撥水効果があるものの、しっかりと水分を吸収しています。革をなめす際に使われるオイルは撥水性・耐久性を高めつつ自然な形で革に浸透するため、毛穴を塞いでしまうことはありません。

コラム 革の見分け方

革の見分け方においてちょっとした裏技があります。それは燃やすことです。革の場合は有機的なにおい、対して、合成皮革などの場合は鼻にツンとくるケミカル臭がします。分厚いコーティングが施された革の場合は、両者の中間のようなにおいになります。また、革の燃えかすは粉々になるのに対して、合成比較の燃えかすは縮んだ塊のようになります。

革の燃えかす

フルグレインレザーを実際に燃やしたあとの様子。

ただ、この方法は火を使うため危険なので、おすすめはしません。色々な革に触れていくうちに自然と判別できるようになるのがベストです。

 

当店の革の種類:

最後に、これまでに述べたことを踏まえて、当店で扱っているフルグレインレザーの種類を紹介しましょう:

プレミアム

大型ブリーフケース

プレミアムの大型ブリーフケース

 クラシックサッチェル

プレミアムのクラシックサッチェル(ナチュラル)のエイジング。下は新品、上は1年使用後。革がしっかりと育つことにより、鮮やかな色艶の違いが見て取れます。

硬さ:★★★★★

エイジング:★★★★☆

軽さ:★★★☆☆

プレミアムは米国産の植物タンニンなめしのフルグレインレザーです。

植物タンニンなめしのフルグレインレザーの特徴は、革本来のがっちりとした質感と豊かなエイジングです。一方で、植物タンニンなめしはクロムなめしと比べて数十倍の時間や手間がかかり、市場における流通量が極端に少なく、大変貴重な革です。また、革の一番頑丈な部分(フルグレインレザー)を現地のタンナーが丁寧になめしているので、当然ながらコストも跳ね上がります。時間をかけて最高級の革を育てつつ、美しい色合いの変化を愉しみたい方にはベストな選択肢です。レザーバッグについて一家言ある方には、迷わずオススメいたします。

ヴィンテージ

 トートバッグ(ヴィンテージ)

ヴィンテージのトートバッグ

硬さ:★★★☆☆

エイジング:★★★★★

軽さ:★★★★☆

革をなめす際にオイルを加える工程を「加脂」と呼びます。ヴィンテージは米国産のオイルレザーで、通常の革よりも多くのオイルでじっくりと加脂することにより、しなやかな肌触りとヴィンテージ感のある独特な色ムラを実現しています。その特質上表面に傷がつきやすい革ではありますが、オイルレザー特有の鮮やかなエイジングは唯一無二の美しさ。内部にたっぷりとオイルが含まれているため、指で軽く擦るだけで簡単に傷が消えます。耐水性・耐久性も抜群で、プレミアムやスタンダードと比べてラフなお手入れでご使用いただけます。もちろん丁寧にお手入れをしていただいてもOK。体に馴染むのも早く、個々人の使い方の差がはっきりと出る「革らしい革」です。人とは違ったユニークな革が欲しい方にピッタリ。

スタンダード

エグゼクティブブリーフケース

スタンダードのエグゼクティブブリーフケース

硬さ:★★★☆☆

エイジング:★★★☆☆

軽さ:★★★★★

スタンダードはバッファロー革を用いたフルグレインレザーです。プレミアムよりも若干軽めで、毛穴の凹凸が感じられる、オーガニックな肌触りが特徴です。バッファロー革は高級家具や有名ブランドバッグにも採用されている素材で、マットなテクスチャと落ち着いた色合いが特徴です。プレミアムよりも少しお求めやすい価格となっております。

カラー:

ナチュラル、ダークブラウン、タバコ、ブラック、マホガニー、モスグリーン、フレンチローズをご用意しております。ラインナップや革の種類によってお選びいただけるカラーが異なりますので、詳しくは各商品ページにてご確認ください。