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革と環境のはなし

コンパクトポーチ

(写真のバッグはコンパクトポーチです。)

レザーバッグの紹介文によく見られる文言の1つに、「植物タンニンなめしはクロムなめしと比べて環境にやさしい」というものがあります。たしかに一面の真理ではあるのですが、実のところ、コトの本質は少し違ったところにあります。結論から言えば、革の環境問題の原因は、なめし以前の工程にあります。

まず、皮が革になるまでには多くの工程を経ます。タンナーや地域によって異なる部分もあるのですが、当店では米国産の革を使用しておりますので、以下、アメリカのタンナーを例に説明します。ざっくり述べると以下のような流れになります。

1.ビームハウス工程

  • 塩漬けにされた原皮の保管
  • 背割り
  • 水洗い
  • フレッシング
  • 石灰漬け

2.なめし工程

  • 脱灰
  • ピックリング
  • なめし(植物タンニンなめしまたはクロムタンニンなめし)
  • 水絞り
  • 分割
  • シェービング

3.再なめし工程

  • 再なめし
  • 染色
  • 加脂
  • セッティング
  • 乾燥

4.仕上げ工程

  • 水分量の調節
  • ステーキング
  • 乾燥
  • バフィング(銀面のやすりがけ。フルグレインレザーには施しません)
  • 型押しなど

このうち、革の環境問題の70~80%がビームハウス工程における石灰漬けに起因します。脱毛をしたあとの石灰液、硫化物などの廃液が主な要因です。代替方法としては、たとえば酵素脱毛法があります。文字通り酵素を使って原皮の毛を取り除く方法です。泡盛の生産に使われるアワモリコウジカビを使う方法などが提案されています。もっとも、根本的な解決策にはいたっておらず、やはり石灰と硫化物を用いた方法が最もポピュラーです。

一方、なめし工程におけるクロムなめしについては、革の環境問題とはそれほど関係がありません。というより、EPAによれば、そもそもアメリカのタンナーは主なクロム排出源としてみなされていません。80年代にメイン州で行われた調査によれば、タンナーのある地域のクロム濃度レベルは、タンナーのない地域と比べて同程度か少し低いくらいでした。

タンナーからのクロムの排出が疑われる主な要因は2つあります。1つはクロム溶液の製造工程、もう1つはバフィング工程です。前者に関しては、クロム溶液の製造は短時間で終わり、継続して行われるものではありません。また、後者に関しては、やすりがけの粉じんが工場内にたまることはあるものの、大気中に放出されることはありません。原皮をクロム溶液でなめす工程において大気汚染が起こることもありません。したがって、クロムなめしの環境への影響は、廃液によるそれと比べれば微々たるものと言えます。

ただ、ビームハウス工程における廃液に関しては、製革過程において防ぎようがありません。となると、革の環境問題に対する解決策は1つしかありません。それは、「丈夫なものを永く使いつづけること」です。もし全ての人が1つのレザーバッグを一生使いつづければ、廃液の量は限りなく少なくすみます。そして、本物のレザーバッグには一生使えるだけの耐久性があります。1度でも当店のバッグをお使いいただいたお客さまには自明の理です。

頑丈なかばんを一生にわたり使いつづけて、豊かなエージングを愉しむ。これこそがレザーバッグの醍醐味であり、究極のエコロジーでもあります。